生産情報管理システム
Farm Recordsのストーリー

勘と経験の農業から

日本における農業は、家内制手工業的規模で、家族で営むものという考え方が中心でした。しかし、それが結果的に経験の繰り返しでなければ技術の継承がなされない結果となり、親の経験値をうまく引き継ぐことができなければ、その経験値という資産は子や孫の世代に引き継ぐことができなくなってきました。
また、農業に活用する道具や肥料、農薬も多岐に渡り、技術的バックグランドが広がり、また農業経営も「作れば売れる」の時代ではなくなっています。
歴史的には、農業分野において農業革命、緑の革命、そして農産物流通のグローバル化など、好むと好まざるにかかわらず、農業はより効率的で的確に機動的な判断が求められる時代に入ってきました。その時代的な流れは、国内農業をより国際的な競争の波に呑み込み、国内農業も家内制手工業的生業からより産業的なアプローチを求められています。

勘と経験は情報の連続性と即応的活用であり、それを司る起点は現場で起こったことの記録なのです。

『精農』は揺るがない生産量と品質

『精農』という言葉は、最近ではあまり聞かれなくなった言葉ですが、よく働く農家、そして農業に詳しい農家を指す言葉です。農業のことわざに「精農は草を見ずして草を取り、中農は草を見て草を取り、堕農は草を見ても草取らず」というものがあります。精農は、草が生える前に草が生えないよう手を打つと言うことわざです。精農は、過去の経験や勘どころ作業プロセスの中に折り込み、高い生産性と品質を維持します。

それを支えるのが、記録なのです。精農と呼ばれる人は、作物の様子だけでなく、その時の気候状況、自らがどのような作業をしたかを手帳などに細かく記録し、それを読み返し失敗の最小化を図ります。また、気候状況の大きな変化に対しては、過去歴(記録)を読み返し、それを元に微修正を加えて行きます。

つまり、精農の技術を裏で支えるものが過去歴という『記録』なのです。

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記録は資産

1日の作業や業務の記録は、とりあえず記録しているだけでは極めて低い価値にしかなりません。しかし、それはノウハウのピースであり、積み重ねることで大きな資産価値を有しています。

情報資産である作業の記録は技術的背景を作り、生産の再現性を高めると言われますが、うまく活用すれば失敗しない生産の再現性を高める効果も持っています。儲からない生産者に共通する性質に失敗を繰り返すというものが有ります。つまり、記録をうまく活用すれば、失敗を抑制するとともに生産性が高まり儲かる農業経営につながっていきます。つまり、記録という情報資産の運用は生産者の向き合い方一つで、どうにでも変わってきます。

システムは便利である前に現場の動線にマッチしていなければならない

システムは便利である前に現場の動線にマッチしていなければならない
農業においての生産記録などの情報記録システムは、農業現場に対する理解の不足から作業動線に合わせてシステムが造られるのではなく、IT技術者が作ったシステムに作業導線を合わせていくというものが多くを占めています。
生産情報管理システムFarm Recordsの開発は、農業生産の作業導線や流れを理解するところから始められました。そして、それは生産者や生産品目、記録の目的に応じて微妙に異なる要素があるため、生産者ごとにカスタマイズ可能な余地を残す必要性を考えた設計思想で組み上げられています。
さまざまな生産品目に共通する点は最大公約数的に、各生産者において拡張したい機能については公倍数的になるよう求められる要素に最大限の拡張性を持っています。

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システムはツール。目的ではない。

生産情報を記録するシステムは、農業生産/経営においてはあくまでツール(道具)に過ぎません。つまり、重要なことは目的を果たすためのツールであるかということです。昨今の農業は、ビジネス形態も様々で、記録の活用もいろいろな要素を含むことが求められます。

Farm Recordsは、農場運営における記録ツールとして活用するだけでなく、取引先への提出書類やもしもの事故原因への遡及性はもちろん、効率的な農場運営ができているか、もしできていなければそれを検証すること可能としています。

グローバルGAPは、リスクの高い工程の記録を求めている。

GAP(適正農業規範)の考え方は2000年台初頭に世界に広がり、日本でも、もはや標準的に取り組むことが求められる農場管理です。その農場管理がきちんと行われているかを確認するのが認証であり、グローバルGAPは、世界で最も高い評価を受ける認証規格です。
そのグローバルGAPが求める記録項目/要素は、リスクの高い生産プロセスであり、記録すべき要素としては5W1Hで記録することを求められます。
Farm Recordsは、そのグローバルGAPのチェックリストで求められる記録項目/要素を包含するのではなく、あくまでリスク可能性のあるところを全て記録できるよう設計されています。つまり、農場管理において、リスクとなりうるプロセスや場所を最もよく知る生産情報管理システムなのです。

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農場の規模拡大は、記録なしでは管理できない

農場の規模拡大を進めると、現場の情報を把握できない、それにより作物の品質が低下し、規模拡大した事によるスケールメリットが生かされないという言葉をよく聞きます。そのために、最も重要なことは現場の状況を把握するための記録です。Farm Recordsは、小規模な生産者はもちろん、大規模な農業生産法人の経営的視点で把握したい情報を網羅、確認できることを目指しました。単なる生産情報の記録システムではない、あくまで農業経営を支える生産情報管理システム、それがFarm Recordsです。
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